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【2023年】Ryzen 9 5950Xの性能レビューとゲーミングPCのおすすめモデル5選

本記事では、AMD社のCPUである「Ryzen 9 5950X」について解説しています。

PCの頭脳とも言われるパーツのCPU。ひと昔前まではIntel社のCore iシリーズが主流でしたが、近年はAMD社のRyzenシリーズもシェア率を伸ばし続けています。

Ryzen 9 5950XはRyzen 5000シリーズの最上位モデルであり、2022年9月にRyzen 7000シリーズが発売されるまではシリーズトップの性能を持っていました。

  • Ryzen 9 5950Xの特徴
  • Ryzen 9 5950Xのベンチマークと他モデルとの比較
  • Ryzen 9 5950X搭載のおすすめゲーミングPC

Ryzen 9 5950XについてゲーミングPC初心者でもわかりやすく解説します。

気になる方はぜひ最後まで読んでみてください。

なお、以下の記事でゲーミングPCのおすすめについて詳しく解説しているので、参考になれば幸いです。

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Ryzen 9 5950XはどんなCPU?特徴を解説

Ryzen9 5950Xは2019年11月に発売されたRyzen9 3950Xの後継モデルです。以下に、下位モデルのRyzen9 5900Xを含めたスペックを表にまとめました。

Ryzen9 3950X Ryzen9 5900X Ryzen9 5950X
開発コード Zen 2 Zen 3 Zen 3
CPUコア数 16 12 16
スレッド数 32 24 32
ベースクロック 3.5GHz 3.7GHz 3.4GHz
最大クロック 4.7GHz 4.8GHz 4.9GHz
TDP 105W 105W 105W

3950Xと比較してコア数とスレッド数は同じですが、開発コードがZen 3に変わってアーキテクチャの改良がおこなわれました。

消費電力も105Wと変化はありませんが、アーキテクチャが変わり性能が上がっているのを考慮すると、性能あたりの省電力性が高くなっているのが期待できます。

ゲーミング性能については、下位モデルとの差が小さく目立った性能の変化は期待できませんが、いろいろな用途で難なくこなせる「オールマイティー」なCPUだと言えるので、ゲーミング以外でも高いパフォーマンスを発揮したいユーザーにおすすめのCPUです。

Ryzen 5000シリーズ最上位モデル

Ryzen 9 5950XはRyzen 5000シリーズのなかでも最上位に位置する性能を持ちます。

発売当時は16コア32スレッドのCPUは珍しく、一部のワークステーション向けのCPUで採用されているだけでした。AMD製だと「Ryzen Threadripper 2950X」が該当し「モンスター級CPU」の扱いでしたが、Ryzen 5000シリーズではRyzen9 5950Xがメインストリームとして位置しています。

現在はRyzen 7000シリーズの登場によりRyzenシリーズ最上位の座から降格しましたが、いろいろな分野でのパフォーマンスが高いため、今なお品薄状態が続いています。

ゲームだけでなくクリエイティブな用途でも活躍

Ryzen 9 5950Xはその性能の高さから、ゲームのみならずクリエイティブな用途でも人気の高いCPUです。

16コア32スレッドという発売当時では驚異的ともいえるスペックは、複数の処理を並列しておこなう「マルチタスク」に最適。例として、動画編集ソフトと画像編集ソフトを同時稼働しても処理スピードが落ちません。

動画のエンコードなどは、CPUのコアとスレッドが多いほど有利です。CPU性能が重視される処理などは、16コア32スレッドの本モデルが得意としているので、クリエイティブな用途にも向いているといえます。

動画編集やレンダリングなど、PCに大きな負荷がかかる処理を快適に行えるスペックのCPUです。

価格は高め

Ryzen9 5950X自体の価格は、発売当初と比較して30%以上値下がりしており、2023年3月現在では70,979円です。

発売時は10万円を超える価格設定でしたが、Intel Core i9-12900シリーズの発売の影響などで下がり始め、現在は7万円台で購入できるショップが多数見られます。

それでもやはり高価なCPUであることには変わりなく、搭載ゲーミングPCの価格も高額です

「Ryzen 9 5950X」をCPUに据えると搭載されるグラボも高性能なものを選択され、本体価格が高額になる…というのが理由になります。

ほかのパーツの価格が平均して高いことも、Ryzen 9 5950X搭載のゲーミングPCが高価になりやすい理由のひとつです。

本モデル搭載のゲーミングPCを購入する際は、20万円から50万円程度の予算が必要となります。

Ryzen9 5950Xのゲームベンチマーク性能

各CPUのベンチマークを一覧にしました。ベンチマークとは専用のソフトウェアを使い、CPUの性能を測定するために数値として指標にしたものです。

Ryzen9 5950Xは基本スペックが高いため、ゲーム目的以外にもその性能の高さを発揮します。

まずは、人気のあるFPSゲームでのフレームレートを測定しました。

Apex Legends

バトルロイヤル型FPSとして人気の高いApex Legendsでフレームレートを測定しました。


今回の測定では144FPSのフレームレート制限を解除し、最高画質・フルHDの条件で測定したものがこちらになります。

測定には「CapFrameX」を使用し、射撃訓練場において一定の動きをおこなった時の平均スコアと最小の値を計測して掲載しました。

144FPSのフレームレート制限を解除しても300FPSで制限ができるので、平均的なFPSスコアについては大差がありませんが、最小FPSの値はRyzen 5000シリーズが優勢です。

Zen3ベースのアーキテクチャが活かされた結果、スコア上昇につながったといえます。

フォートナイト

1日600万人がプレイしている大人気バトルロイヤルTPSの「フォートナイト」で動作フレームレートを測定しました。


中設定ではCPU性能の差が出やすくCore i5-10600Kとは大きくスコアが開きますが、設定を高くするとCPU性能差はあまり見られません。フォートナイトは現在販売されているモデルには「比較的軽い」ゲームに分類されるので、最新のCPUでは高いフレームレートを叩き出します。

8コア以上のCPU使用でスコアの差はほぼありませんが、コスパを考えればRyzen9 5950Xはオーバースペックです。

しかし、フォートナイトだけでなく、最新の人気タイトルのプレイを考えているならRyzen9 5950Xのような性能の高いCPUを選択するのは賢明な判断だといえます。

MONSTER HUNTER WORLD: アイスボーン

人気タイトルのなかでは「重量級タイトル」に位置するMONSTER HUNTER WORLD: アイスボーンでもフレームレートを測定してみました。


画質は最高設定、集会エリアでのある一定コースを移動した時のスコアを計測したのがこのグラフです。

Apex Legendsなどの場合、コア数の多いCPUだとスコアが落ちる傾向が強くフレームレートはあまり伸びませんが、MHW:アイスボーンではスコアが伸びているのがわかります。

Ryzen 5000シリーズでは前世代CPUよりも高いフレームレートを叩き出しており、平均値・最小値ともに圧倒的です。

Ryzen9 7000シリーズ登場でミドルクラスになりつつあるRyzen9 5950Xですが、重量級タイトルのプレイではまだまだ現役で活躍できるCPUです。

FF14:暁月のフィナーレ

スクウェア・エニックスが販売している大人気タイトル「FF14:暁月のフィナーレ」でもフレームレートを測定しました。


フレームレートの値そのものの差は小さいが、平均して高いパフォーマンスを出しています。前世代のRyzen9 3950Xからは明らかにスコアが伸びており、その差は圧倒的です。

Ryzen9 5000シリーズの上位製品は、CPUコアの品質が厳しく選別されており、個体差が小さく高いクロック数でも安定した動作が可能です。

それに加えて、「CCXの8コア化」によるレイテンシ縮小がゲーミング性能を向上させた要因だといえます。

マルチスレッド性能が高く、重量級タイトルのプレイでも高いフレームレートを維持できるRyzen9 5950XはヘビーユーザーにもおすすめできるCPUです。

その他アプリのベンチマーク性能

ここからはゲーミング以外のベンチマーク性能を測定していきます。

ゲーミング用途のみでRyzen9 5950Xを選択するのは、コスパが悪く現実的ではありません。CPU性能を存分に活かせるタイトルも少なく、高額で搭載PCも少ないからです。

動画のエンコードや画像編集、一般的なオフィスソフトなど、Ryzen9 5950Xの「マルチスレッド性能」を活かせる分野でマシンを使用したい人向けに性能を測定しました。

歴代Ryzenシリーズやintel製CPUと比較しているので、詳しく解説していきます。

Cinebench R20

Cinebench R20は以前のR15と違い、CPU性能を測定するために特化されたソフトです。こちらのソフトを使用し、ベンチマーク性能を測定しました。

上のグラフではRyzen9 5950Xが頭一つ抜きん出て高いスコアを出しています。特に差が大きいのはマルチスレッド性能で、従来モデルの3950Xよりも14%スコアが上昇。

シングルスレッド性能も高くなっており、比較対象のモデルのなかではトップのスコアを出しています。

以前は「AMD製CPUはシングルスレッドが弱点」と言われていたのが、Ryzen9 5950Xの登場で挽回できたのは素晴らしいです。

PCMark10

PCMark10は、オフィスソフトの使用やWebサイト閲覧・ビデオチャットなどの「一般向けアプリ」の使用を想定したベンチマークソフトです。

こちらのベンチマークソフトでもRyzen9 5950Xのスコアがトップで、Excelでは前世代の3950Xから約27%のスコア上昇。比較対象にしたCore iシリーズもそれなりに高いスコアを出していますが、コア数・スレッド数の違いが大きく表れています。

Wordのほうも、前世代の3950Xとの差は大きく出ています。Zen3ベースのアーキテクチャが活かされたことによる性能の差は大きいようです。

このことから、Ryzen9 5950Xは事務作業などの一般向け用途にも強いCPUだといえます。

Adobeソフトウェア

クリエイティブ系ソフトで有名なAdobe社のPhotoshopとAfter Effectsを使用してベンチマークスコアを測定しました。

PhotoshopのスコアはRyzen9 5950Xが最も高く、一番低いCore i7-10700Kと比較して約35%もの差が出ています。5900Xとの差は5%ほどですが、明らかな性能アップです。

After EffectsのほうはCore iシリーズのCPUが強く、第10世代最強といわれたCore i9-10900KがRyzen9 5950Xを凌駕しています。

ゲーム以外にPhotoshopを使って、イラスト作成や写真編集などをやりたいユーザーにはRyzen9 5950XはおすすめできるCPUです。

Handbrake

Handbrakeは無料の動画変換・エンコードソフトです。

DVDやBD動画はもちろん、MP4・AVIなどの動画ファイルをMP4・MKV・WebMなどに変換できます。それに加えて、特定のチャプター抽出・クロッピング・デインターレース・字幕合成などの機能が付いており、YouTube動画の作成などにも使えるソフトです。

エンコーディングソフトは、CPUのコア数やスレッド数が高いほど高速処理が可能になるソフトで、グラフの数値が小さいほど処理速度が早いことを示しています。

グラフを見る限り、前世代の3950XやCore iシリーズと比較してスコアの違いは圧倒的です。x265変換ではRyzen9 5950XがCore i7-10700Kの倍近くの処理速度を叩き出しています。

ゲーミングだけでなく実況・リアルタイム配信を考えているユーザーなら、Ryzen9 5950Xは候補に入れても損はないCPUです。

Ryzen9 5950Xが搭載されているゲーミングPCのおすすめモデル

ここからは、Ryzen9 5950Xが搭載されているおすすめゲーミングPCを紹介していきます。

2023年3月現在「Ryzen9 5950X」搭載ゲーミングPCは少なく、そのほとんどは後継モデルのAMD Ryzen 7000シリーズに置き換わっているのが現状です。

以下に現存する「Ryzen9 5950X」搭載ゲーミングPCを紹介していくので、気になる人は参考にしてみてください。

パソコンショップark AG-AR8X57AGA8-CM2

 AG-AR8X57AGA8-CM2は、冷却性能と拡張性を両立したケースとパフォーマンスの高いパーツ構成が魅力です。

通気性の高いメッシュパネルを使用したMasterBox CM694ケースは、3段になったトレイ内部でSSDとHDDを同時に収納可能。ストレージが脱着しやすい引き出しタイプになっていることからパーツ変更も楽な特徴があります。

マザーボードには、ASRock X570S PG Riptideを採用。LAN用のICがIntel製であり耐久性が抜群という点と、チップファンがないため静音性に優れているというメリットがあります。ただし、M.2スロットを2個使うとSATAが4ポートしか使用できない点は注意が必要です。

初期搭載で1000Wの電源を搭載しているため、Ryzen 9 5950XのXFR発動も十分視野に入る構成といえます。CPUの処理性能を最大限に発揮する土台が揃っているモデルです。

メーカー パソコンショップark
CPU Ryzen9 5950X(ベースはRyzen7 5800X3D)
グラボ(GPU) GeForce RTX 3080
メモリ 32GB
ストレージ 1TB SSD

パソコンショップark AG-AR6B55AGA6-H5F

基本のパーツ構成として、GPUにRTX 3060を使用。多くの人気タイトルの推奨スペックを満たしており、クリエイティブな作業にも対応可能なマシンがこのAG-AR6B55AGA6-H5Fです。

Apex LegendsやフォートナイトなどをフルHD、200fps以上で遊べます。

メモリ容量やストレージ・グラボもカスタマイズ可能。ケースの色もマットブラック・マットホワイトのどちらかを選べるので、部屋や周辺機器に合わせたケースを選択してください。

初めてパソコンを購入しようと考えている人向けにモニターやスピーカー・Webカメラも注文時に選択できるので、周辺機器の購入で迷う心配がありません。

メーカー パソコンショップark
CPU Ryzen9 5950X(ベースはRyzen5 5600)
グラボ(GPU) GeForce RTX 3060
メモリ 16GB
ストレージ 500GB SSD:1TB SSD

パソコンショップark AG-AR8X57AGA8-H5F

標準構成として、グラボにRTX 3080を使用したモデル。ミドルクラスより少し上に位置するグラボで、多くの人気タイトルを快適に遊べる性能を持っています。

ASRock製ミドルハイクラスのマザーボード使用で、長時間稼働でも安定した性能でゲーミングを楽しめ、クリエイティブ方面でも妥協のない作品制作が可能です。

フルHDのApex Legendsやフォートナイトで200fps以上でのプレイを楽しめます

シンプルな見た目のミドルタワーモデルですが冷却性能が優れており、重量級タイトルのプレイや高負荷クリエイティブ作業で発生した熱がこもりません。

公式サイトは、初めてパソコンを買うユーザーにも操作がしやすいので、目的に応じたパーツを選択できます。

メーカー パソコンショップark
CPU Ryzen9 5950X(ベースはRyzen7 5800X3D)
グラボ(GPU) GeForce RTX 3080
メモリ 32GB
ストレージ 1TB SSD:2TB SSD

パソコンショップark AG-AR8B55AGA7-FMA

パソコンショップarkのAG-AR8B55AGA7-FMAは、六角メッシュのフロントと必要十分な内容量を備えたミドルゲーミングPCです。

小型のミドルケースは、フロントとトップの六角メッシュで通気性も良好。サイドパネルは工具不要のスモークガラスとなっており、ケース内部の掃除がしやすい利点があります。ただし、内部スペースが控えめな設計であることから、180mmを超えるGPUや簡易水冷を積むことは難しいです。

CPUクーラーに関してはNoctuaの上位サイドフロークーラーを選択できるため、CPUスペックを存分に発揮したい人はクーラーのカスタマイズをおすすめします。

標準搭載のRTX 3070でもFPSやバトロワ系のゲームを十分遊ぶことができますが、カスタマイズでRTX 4070にグレードアップ可能。低消費電力でありながら3Dゲームなども快適に遊べるようになるため、遊ぶゲームの幅を広げたい人は検討してみてください。

メーカー パソコンショップark
CPU Ryzen9 5950X(ベースはRyzen7 5800X3D)
グラボ(GPU) GeForce RTX 3070
メモリ 32GB
ストレージ 1TB SSD

パソコンショップark AG-AR8B55AGA7I-F7

AG-AR8B55AGA7I-F7は、ヘアライン加工が施されたフロントパネルと白いフレームが特徴的なゲーミングPCです。

ケースはFractal Design Define 7を採用。最大14台のHHD、4台のSSD、1台のODDを搭載できる拡張性と、大型ラジエーターやGPUを搭載できる内部容量を備えています。拡張性以外にも静音性と通気性を両立した特殊構造となっており、ハイエンドパーツの仕様に向いています。

標準でCorsairの240mm水冷CPUクーラーを搭載しているため、Ryzen 9 5950Xを搭載しても安定感抜群という点も大きな利点です。

ハイエンドPCを長く使い続けたいという人におすすめのモデルです。

メーカー パソコンショップark
CPU Ryzen 9 5950X(ベースはRyzen7 5800X3D)
グラボ(GPU) GeForce RTX 3070Ti
メモリ 32GB
ストレージ 1TB SSD

まとめ


2023年3月現在ではハイエンドCPUとして「AMD Ryzen9 7950X3D」が販売されており、既に自作PCのCPUとして利用しているユーザーには「Ryzen9 5950X」の価値は低くなっています。

Ryzen9 5950xは長く品薄状態が続いており、搭載ゲーミングPCも多くはありません。しかし、発売当初より価格が下がり、安いモデルでは20万円前後で手に入るようになっています。

搭載PCのモデルは少ないものの、ゲーミングやクリエイティブで快適に作業できるミドルクラスマシンとしての価値はまだまだ充分です。

オールマイティーに使用できる高性能PCを探している方は、ぜひ検討してみてください。