スマートフォンの充電やパソコンとのデータ転送など、日常的に使用するUSBケーブル。
「とりあえず長いものでいいや」「価格重視で選んでる」という方も多いかもしれませんが、USBケーブルは長さによって性能や使い勝手が変わります。
今回はUSBケーブルの長さと性能・USB規格の関係や、使用シーン別おすすめのケーブル長を解説いたします。
USBケーブルの長さは規格によって決まっている
まずUSBケーブルには、USBの規格作成団体であるUSB-IFが定めた規格が決められています。
それぞれの規格において、転送速度や長さが決められています。以下はその一覧表です。
| バージョン名 (規格名) | マーケティング名 (転送速度) | 長さ |
|---|---|---|
| USB2.0 | Hi-Speed:480Mbps | ~5m (Type-Cケーブルでは~4m) |
| USB 3.0 (USB 3.1 Gen1)(USB 3.2 Gen1) | SuperSpeed:5Gbps | ~3m (Type-Cケーブルでは~2m) |
| ↓ 以下はType-C to Type-Cケーブル | ||
| USB 3.1 (USB 3.1 Gen2)(USB 3.2 Gen2) | SuperSpeed+:10Gbps | ~1m |
| USB 3.2 (USB 3.2 Gen2x2) | SuperSpeed+ Dual Link:20Gbps | ~1m |
| USB4 Gen 2x2 USB4 Gen 3x2 (USB4 Gen 4x1) | USB 20Gbps USB 40Gbps | ~1m |
| USB4 Version 2.0(USB4 Gen 4x2) | USB 80Gbps | ~0.8m |
(バージョン名とマーケティング名がありますが、現在ではマーケティング名を販売時に使用することが推奨されています)
(一部では規格よりも長い製品があります。その場合は製品がUSB-IF認証を取得しているかを確認しましょう)
一覧表を見ると、高性能であればあるほどUSBケーブルが短いことが分かります。
これはUSBケーブルが長くなるほど、ノイズなどの影響を受けやすくなるためです。
ここで注意として、上記の規格から大きく仕様が異なる製品は規格外である可能性が高いです。購入時は必ず製品仕様をチェックしましょう。
(例)
・USB2.0規格で6m以上、10Gbpsのデータ転送に対応
・USB 10Gbps対応なのに4mなど極端に長い
USB PDはType-C to Type-Cケーブルで可能
USBケーブルではデータ転送速度のほかに、充電性能も重要なポイントです。
USB PDやUSB PD EPRといった急速充電を行うには、USB Type-C to USB Type-Cケーブル(以下、Type-Cケーブル)であり、USB Type-AコネクタのケーブルではPDでの急速充電はできません。
また、PD充電のW数はUSB規格と関係ありません。
USB2.0やUSB3.1のType-Cケーブルでも、高出力のPD対応の製品があります。
ただし、60Wよりも大きいW数に対応した製品では「e-Marker」があるかチェックしましょう。
「e-Marker」は充電器と接続機器の間で、どれだけの電力を流せるか・どれだけの電力を受け取れるかを確認・伝達する役割を持つIC(小さなチップ)です。
100Wや240W対応のType-Cケーブルで「e-Marker」が搭載されていない場合は購入を避けましょう。
理由として「e-Marker」非搭載のType-Cケーブルで高出力な充電器を使用すると、接続機器へ大きな電力が流れ、機器の不調や故障を招くおそれがあるためです。
長いケーブルは性能が落ちる?
USBケーブル選びをしていると「長いケーブルは性能が落ちる」と耳にすることがあるかもしれません。
これは半分正解です。
USBケーブルは長くなるほど「電圧降下」という現象が関わってきます。
イメージとしては、50mの距離と200mの距離を同じ速さで走る場合を想像してみましょう。
充電器をスタート地点・接続機器をゴール地点と仮定すると、200mの方がゴールするまでにかかる時間や疲労が大きくなります。
USBケーブルも同様に、長くなるほど抵抗値が大きくなり、充電器から接続機器へ伝わる電力が小さくなります。
(※上記の説明はあくまで同じ線材を用いたケーブルでの例えであり、一概にケーブルすべてがそのようになっているわけではありません)
ただし、普段使いではそれほど気にする必要はありません。
高出力充電や高速データ転送を重視する場合に、頭の片隅に置いておくと良いでしょう。
ハイスペックなケーブルほど取り回しにくい?
「USB 80Gbps」や「PD EPR 240W」など性能に優れたUSBケーブルは、従来品よりも太かったり、取り回しにくい硬さだったりします。
これはUSBケーブルの内部にある線材が多くなるためです。
ハイパワーな充電や超速でデータ転送を行うにはノイズなどの対策が欠かせず、結果としてしっかりとした造りになるのです。
裏を返せば、高スペックでありながら極端に柔らかすぎたり細すぎたりする製品は、性能を疑った方が良いでしょう。
現在は高スペックのUSBケーブルでも比較的取り回しやすい製品が販売されているので、購入前に仕様や購入者のレビューを確認することをおすすめします。
用途別のおすすめケーブル長
ここからは、実際にどのようなシーンでどの長さが適しているのかをご紹介いたします。
【~1.0m】手元や持ち運びで使うのにベスト
1.0mまでの短いUSBケーブルは、スマートフォンやノートパソコンなど、手元で使う機器との相性が良いです。
例として
・スマートフォンをモバイルバッテリーで充電する
・ノートパソコンにスマートフォンやSSDを接続する
・デスク上で周辺機器を接続
など、手元で完結する作業に使うのがおすすめです。
外出時に持ち運ぶ際も邪魔になりにくいので”普段のお出かけ用”としてカバンやリュックに1本忍ばせておくのも良いでしょう。
また、高速データ転送に対応した規格ではUSBケーブルの長さが短く定められているので、さまざまなデータを素早く移したい場合もこの長さを選ぶと良いでしょう。
【1.0~2.0m】どこでも使えるオールラウンダー
1.0から2.0mまでのUSBケーブルは汎用的に使えるので、迷ったらこの長さを選ぶのをおすすめします。
短すぎず長すぎないため、
・自宅での充電
・ホテルや出張先での使用
・デスク周りの配線
など幅広いシーンに対応できます。
特に2.0m前後の製品は、コンセントからの距離に余裕を持たせやすいため”自宅用”として1本持っておくと安心でしょう。
【2.0m以上】充電におすすめ
2.0m以上のUSBケーブルは主に充電用途で使うことが多いです。
そのため、
・ベッドでスマートフォンを充電しながら使う
・ソファから離れたコンセントに充電器を挿して使う
・車内で後部座席のスマートフォンを充電する
など、コンセントや充電器から距離がある場合に使うのが良いでしょう。
前述したように高速データ転送に対応するUSBケーブルは、USB規格で短めに定められています。
長いUSBケーブルでデータ転送をしたい、といった場合は対応する規格を必ず確認するようにしましょう。
おわりに
USBケーブルの長さと性能・USB規格の関係や、使用シーン別おすすめのケーブル長
について解説いたしました。
本コラムのまとめです。
・規格によってケーブル長や転送速度が決まっている
・PDやPD EPRでの充電はType-Cケーブルで可能
・長いUSBケーブルでは「電圧降下」が影響する
∟普段使いでは気にしなくても良い
・USBケーブルでおすすめの長さ
∟【~1.0m】手元や持ち運びで使うのにベスト
∟【1.0~2.0m】どこでも使えるオールラウンダー
∟【2.0m以上】充電におすすめ
シビアに高性能を求めるのであれば、最新のUSB規格に則したUSBケーブルを選びましょう。
一方で「それほど高い性能を求めない」という場合は、生活スタイルに合わせた製品を選ぶのが1番です。
この機会に一度USBケーブルの買い替えを検討してみてはいかがでしょうか。



