本体を破損や水濡れから守りつつ、さまざまな機能やデザインを付帯できるiPadケース。スマホケースと比較するとバリエーションが少ないこともあり、自社独自のアイデアを反映したiPadケースの製造を検討している企業も多いでしょう。

しかし、今から新規参入するとなると、製造能力や設備の確保など多数の課題を解決しなければなりません。

そこで今回は、オリジナルiPadケース製造時に役立つOEMについて解説します。OEMを活用した製造工程の例や商品のカスタマイズ案も紹介するので、オリジナルのiPadケースを開発する際の参考にしてください。

設備がなくても、オリジナルiPadケースはOEMで製造可能!

企業にiPadケースの製造設備がない場合は、OEMを活用してオリジナルの商品を作りましょう。OEMは自社でデザインを企画したうえで、製造をメーカーに委託できます。

OEM(Original Equipment Manufacturing/Manufacturer)とは、自社製品を他社に作ってもらう仕組みのこと。化粧品・食品・携帯電話・電化製品など、幅広い分野で採用されているビジネスモデルです。

OEMを活用すれば自社で製造設備を持つ必要がないので、初期投資を削減できます。製造を委託できるぶん、商品の開発や販売業務に注力も可能です。

ただし、委託するメーカーに製造費を支払う必要があるので、製造コストはかかります。自社に製造技術の向上や製造ノウハウの蓄積がしづらくなるので、デメリットを把握したうえで委託を検討しましょう。

どのモデルのiPadケースを作りたいか決めよう

オリジナルのiPadケースを企画する前に、まずどのモデルに向けた商品を作るのかを決定しましょう。iPadは種類や世代によってサイズや構造が異なるので、モデルを決めないとケースの開発に着手できません。

対象のモデルを決めたあとに確認するポイントは、おもに次の点です。


  • 本体のインチ数と縦横の長さ

  • 本体の厚み

  • カメラの位置

  • ボタンの位置



たとえば、ベーシックなモデルのiPad(第10世代、2022年モデル)は10.9インチかつ薄さ7mmであるのに対して、M4チップ搭載のiPad Pro(第7世代、2024年モデル)の13インチだと薄さ5.1mmと大きさも薄さも異なります。

iPadに対して小さすぎるケースは本体が収まらず、大きすぎるとケースが外れて本体が落下してしまうでしょう。

さらに、ボタンとカメラの位置にも要注意。モデルに応じて適切な構造を作らないと、音量ボタンやトップボタンの誤作動のほか、写真が撮れないなどの不具合を招きます。

iPadケースは、ほかのモデル向けの商品を流用できないことが多い傾向にあります。対象にするモデルに適した商品の開発を進めましょう。

製造前にチェック!iPadケースのタイプごとの特徴

iPadケースのタイプは、大きく分けてシェルカバー・フラップカバー・スリーブケースの3種類です。それぞれデザインや付帯できる機能が異なるので、特徴を把握して新商品の開発に活かしましょう。

シェルカバー|軽量かつ製造コストが低い

製造コストを抑えつつ軽量なiPadケースを作るなら、背面と側面だけを覆うシェルカバーがおすすめです。ほかの形状よりも重量を減らしやすいシンプルな構造であるため、リーズナブルに作れるでしょう。

シェルカバーはディスプレイが常に露出しているので、iPadを使いたいときにすぐ操作できます。自宅やオフィスなど決まった場所で、頻繁にiPadを使う方に適しているでしょう。

ただし、ディスプレイは保護できず、持ち運びの際に傷つく恐れがあります。画面保護フィルムもあわせて販売し、併用を促すとよいでしょう。

フラップカバー|保護性能と機能性を両立できる

保護性能と機能性を両立させるなら、手帳型のフラップカバーをもとにした商品の企画をおすすめします。iPadの全面を保護できる構造であるうえに、カバー部分に多数の機能を付帯しやすいのが魅力です。

カバーにはカード・書類・タッチペンを収納できるスペースや、キーボードの付帯も可能です。折り曲げればスタンドとして使えるカバーにすると、iPadを立てかけて動画視聴や操作も行えます。

シェルカバーとは異なりディスプレイも保護できるので、持ち運びが多い方向けにおすすめです。一方で、シェルカバーと比較すると厚みや重みがあります。コンパクト感が損なわれると持ち運びしにくくなるので、注意しつつデザインしましょう。

スリーブケース|移動中の衝撃緩和や収納性に優れる

移動中の衝撃緩和と収納性に優れたiPadケースを作るなら、スリーブケースを候補に入れましょう。クッション性や耐衝撃に優れているため、より安心して持ち運べるのが魅力です。

スリーブケースは本体に装着せず、ケースに入れて保護するタイプです。内部をクッションにして衝撃を緩和できるので、移動中の破損が心配な方に選ばれやすいでしょう。収納ポケットを付帯すれば、充電器やケーブルなどの持ち運びも可能です。

iPadの使用中は保護できないものの、iPadのデザイン性や軽量感を損ないたくない方にも適しています。なお、使用中の保護性能を高めるためにシェルカバーと併用する方も多いので、大きさにゆとりを持たせてデザインするとよいでしょう。

オリジナルiPadケースの素材・機能はどれがいい?カスタマイズ例を紹介

自社独自のiPadケースを作る際は、素材と機能にこだわると他社と差別化を図れるでしょう。ここでは、オリジナリティを出せるカスタマイズ例を紹介します。

素材は求める外観や印象に合わせて選ぶ

オリジナルのiPadケースを作る際は、イメージする外観や印象に応じて素材を選びましょう。素材はデザイン面に影響を及ぼし、印象を大きく左右します。iPadケースに用いられる主な素材は、次のとおりです。


  • TPU(熱可塑性ポリウレタン):プラスチックの一種・耐衝撃性が高い・薄く軽量

  • シリコン:衝撃吸収性が高い・滑りにくい・埃が付着しやすい

  • PC(ポリカーボネート):薄く軽量・衝撃吸収性はいまひとつ

  • 本革レザー:高級感がある・経年変化を楽しめる・コストが高い

  • フェイクレザー:高級感がある・本革より安価だが劣化しやすい

  • アルミニウム:スタイリッシュ・高級感がある・薄く軽量・傷がつきやすい


定番の素材は、破損しにくいTPUやシリコンです。高級感を演出するなら、レザーやアルミニウムを取り入れるとよいでしょう。ひとつの商品に、複数の素材を組み合わせることも可能です。

価格にも影響を及ぼすので、素材を選ぶ際はコストとのバランスも考慮しましょう。

カラーバリエーションを豊富にする

オリジナルのiPadケースを作る際は、カラーバリエーションを広げるのもおすすめです。さまざまな色合いのものがあれば、購入者の選択肢が広がり喜ばれやすいでしょう。ケースを取り付けるだけで、iPadの見た目の変化を楽しめるのが魅力です。

ただし、カラーバリエーションを広げると、色ごとに最小ロットを依頼しなければいけない場合があります。たとえば最小ロットが100個なら、1色ごとに最低100個ずつ作る必要があります。バリエーションが増えるだけ製造量も多くなるので、バランスを考えつつ色の展開を考えましょう。

オリジナルプリントで独自性を表現する

iPadケースを作る際は、オリジナルプリントを施して独自性を表現するのもよいでしょう。ほかにはないデザインとして、視覚に訴えかけられます。

目を惹くデザインに仕上げるなら、花柄・動物柄・チェック・マーブルなどの総柄を施すのもおすすめ。ほかにも、人気キャラクターつきならファンの注目を集めやすく、絵画モチーフは個性とおしゃれな雰囲気を演出できます。

一方で、ケースの存在感をなくせるクリアカラーも需要があります。本体を隠すだけでなく、iPad本体のカラーを見せるデザインも意識してみるとよいかもしれません。

なお、オリジナルデザインを企画する際は、著作権や肖像権に触れるデザインではないか確認しましょう。とくにキャラクターや絵画モチーフは、著作権者に許可を得る必要があります。

使用シーンに合わせて耐久性を追求する

オリジナルのiPadケースを作る際は、iPadの使用シーンに合わせて耐久性を追求しましょう。iPadを使用する場所や状況によっては、落下や水濡れの心配があります。

たとえば、外出先で使用する方や小さな子どもがいる家庭からは、耐衝撃性の高い商品が求められるでしょう。キッチンやお風呂場などの水場で使う方は、耐水性を重視します。先述したシェルカバー・フラップカバー・スリーブケースは基本的に防水性がありませんが、別途防水性能を持つタイプのケースを作ることも可能です。

耐久性を証明するなら、MIL規格の試験を実施するのが有効です。米国の軍隊が使うさまざまなものに対して用いられるMIL規格は、耐久性・耐水性・防塵性・耐火性などにおけるあらゆる合格基準を定めており、合格することでタフさを証明できます。

なお、耐衝撃性を高めるとともに、落下防止機能を付帯するのもひとつの手です。スマホリングに似た役割を持つハンドストラップや、首にかけて使うショルダーストラップを付帯すると、iPadを落とさずに済みます。

もし防水性能を持つタイプのケースを作るなら、防水性能を表すIPコードもあわせて表記しましょう。IPコードの等級は、IPX0からIPX8まであり、数字が大きいほど防水性能が高いことを表します。iPadケースであれば、生活防水であるIPX4のレベルを目指すとよいでしょう。

ターゲットごとに便利な機能性を付帯する

オリジナルiPadケースを作るなら、ターゲットに適した機能性を付帯しましょう。ここでは、具体的なカスタマイズ例を紹介します。

持ち運びが多い層に向けて軽量性を重視する


持ち歩きが多い方向けに作るなら、軽量性が高いiPadケースを目指しましょう。重量が軽い分、持ち歩きの負担を減らせます。

軽量モデルは長時間にわたる使用時に、腕の負担も軽減できる点がメリットです。ケースの重量を250g以下ほどに抑えれば、軽量モデルとして謳えるでしょう。

軽量かつ耐衝撃性が高い素材で作れば、耐久性も両立が可能です。軽くてタフな熱可塑性ポリウレタンやポリカーボネートなどの素材の使用を検討しましょう。

タイピング作業を行う方向けにキーボード一体型も展開する


タイピング作業をiPadで行う方に向けて、キーボード一体型を展開するのもおすすめです。ノートPCのような作業性を実現できるので、仕事にも活用できるiPadケースに仕上がります。

キーボードを付帯すると、iPadにオンスクリーンキーボードが表示されなくなるので、ディスプレイを広く使えるようになります。さらに、タッチパッドを搭載すればフリックやスワイプなどのジェスチャー操作にも対応できるでしょう。

キーボードの重さが増すので持ち運びはやや不便に感じるものの、ノートPCより軽量に扱えるので需要は高いといえます。

操作性・利便性アップを狙ってスタンド機能をつける


操作性や利便性をアップするなら、スタンド機能を付帯するとよいでしょう。環境を問わずにiPad本体を立てかけて固定できるスタンド機能は、とくに重宝されています。

スタンド機能付きのiPadケースは、動画視聴やキーボードで文字入力をする際など、幅広いシーンで活躍できるでしょう。iPadを手で持たないぶん、腕の負担も軽減できます。

スタンド機能を付帯する際は、使わないときに邪魔にならないよう、折りたためる形状にしましょう。シェルカバーに付帯するのはもちろん、フラップケースのカバー部分をスタンドにできる構造もおすすめです。

さらに、角度や向きを調整できれば、使い勝手が向上します。360°回転できるタイプは縦置きと横置きの両方に対応しており、用途に合わせて向きを変えられます。

周辺機器を使う方向けに収納機能を付帯する


iPadの周辺機器もあわせて使う方に向けて、収納機能の付帯も検討しましょう。iPadとともに、タッチペン・イヤホン・マウスなどのさまざまな周辺機器を併用している方は多いもの。まとめて持ち運べるようにすれば、紛失防止に役立つと認識してもらえます。

構造上、収納機能はフラップカバーやスリーブケースに付帯しやすいでしょう。フラップカバーであればカードやタッチペンなどの小物ホルダーを付帯するのに適しています。

一方でスリーブケースは、モバイルバッテリーや充電器、ケーブルなど周辺機器を幅広く収納できるポケットを付帯できるでしょう。

収納機能の一環として、ペンシルスタンドを搭載するのもおすすめです。離席中にタッチペンを一時的に立てておけるので、タッチペン愛用者に喜ばれるでしょう。

バッテリーの消耗防止を目的にオートスリープ機能を持たせる


バッテリーの消耗を防ぐiPadケースを作るなら、オートスリープ機能を付帯しましょう。フラップカバーにのみ付帯できる機能ですが、カバーを閉じると自動でスリープモードになります。

オートスリープ機能は、フラップカバー内蔵の磁石が、iPadに搭載している磁気センサーに反応すると作動する仕組みです。自動的にスリープモードに移行すれば手間なく電力消費を削減できるほか、移動中の誤作動なども防げるでしょう。

オートスリープ機能を付帯させると、オートウェイクアップ機能も自ずと付帯されます。カバーを開いたあと自動でスリープから復帰するため、すぐに作業に移れて利便性アップにつながるiPadケースを作れるでしょう。

オリジナルiPadケース製造の流れ

オリジナルiPadケースの製造がどのように進むかも、事前に確認しておくことが重要です。それぞれの工程を紹介します。

①企画を立案し、OEMメーカーに問い合わせる

オリジナルのiPadケースをOEMで作るなら、社内で企画を立ててからOEMメーカーに相談しましょう。作りたい商品のイメージ・テーマ・納期・予算を決めておくと、問い合わせの際にスムーズに進みます。

メーカーを選ぶ際は、iPadケースの開発力や技術力が十分にあるかを確認することがポイントです。過去の製造実績やサポート内容をチェックすれば、提案力や技術力を判断しやすくなるでしょう。

さらに、要件に適した見積もりの提示があるかも重視すべきポイントです。不明瞭な内容がないか事前に確認しておくと、契約後のトラブルを防ぎやすくなります。

②メーカーと打ち合わせ

メーカーを決定したら、商品の打ち合わせを具体的に行います。問い合わせ内容をもとに、デザイン・素材・納期・製造個数などを明確に決定しましょう。メーカーに参考サンプルがあれば、チェックしておくとイメージをつかみやすくなります。

なお、打ち合わせの時点で概算の見積もりを確認しておくと、安心して進めやすくなるでしょう。あとになって予算を大きく上回ってしまい修正を行うよりも、打ち合わせ段階で見直しておいたほうがスムーズです。

③データ入稿

商品に独自の印刷を施す場合は、打ち合わせ後にデータを入稿します。印刷データの入稿に際しては、メーカーからの指定に沿って進めてください。主に形式の指定があるほか、アウトライン化を求められる場合が多いでしょう。

なお、画像の細かい部分は印刷で表現しにくい場合があります。仕上がりイメージを考慮したうえでデータを作り、不安な点はメーカーに相談して進めましょう。

④サンプル試作

商品の詳細が決定し契約を締結したあとに、サンプル試作とチェックを行います。サンプルをもとに量産するので、色の出方・デザイン・使用感・印刷ロゴの位置などを詳細に確認してから商品の仕様を確定しましょう。

サンプル試作は製造コストに含まれる場合もありますが、有料のメーカーもあります。あらかじめ、メーカーに費用を確認しておきましょう。

⑤製造・検品・納品

サンプルで課題を解決できたら、製造に移ります。最終の製造個数を確定すると正式な見積もりが提示されるので、確認したうえで発注手続きを行いましょう。

必要個数の製造が完了したあとは、製造スタッフによる品質確認の検査を経て納品されます。メーカーや企画内容にもよりますが、打ち合わせから納品まで2か月程度かかると認識しておきましょう。

また、OEMメーカーによってはアフターフォローを用意している場合もあります。商品の販売促進の準備やリニューアルなどを行いやすくなるので、積極的に活用しましょう。

オリジナルiPadケースをOEM製造して差別化を図ろう

自社での製造能力確保が難しい場合は、OEMを活用してiPadケースを作りましょう。メーカーのノウハウを活かした新商品を開発できるので、他社との差別化も図れます。

オウルテックでは、たしかな技術力と自社一貫体制を備え、スムーズな対応が可能です。機密情報や品質の管理はもちろん、徹底したアフターサポートも行っています。オリジナルのiPadケースのOEM製造に関するご質問やご依頼を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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